【完全ガイド】倉庫建設の全工程を徹底解説|スケジュールと費用、業者選びのコツ
  倉庫建設は、企業の物流戦略の根幹をなす重要な投資です。しかし、そのプロセスは複雑で、何から手をつければ良いか悩む担当者様も多いでしょう。
本記事では、倉庫建設の基本計画から設計、施工、そして完成までの流れを8つのステップで分かりやすく解説します。
建設に必要な期間や費用相場、計画をスムーズに進めるためのポイントも紹介しますので、ぜひご一読ください。
倉庫建設にかかる期間と費用の目安

倉庫建設を計画する上で、まず把握しておきたいのが「どれくらいの期間と費用がかかるのか」という点です。
大規模なプロジェクトとなるため、全体のスケジュール感と予算規模を事前に理解しておくことが、事業計画の精度を高める鍵となります。
ここでは、一般的な倉庫建設の目安について解説します。
倉庫建設の期間は約1年〜1年半
倉庫の規模や構造、建設地の状況によって変動しますが、一般的な倉庫建設では、基本計画の策定から建物の完成・引き渡しまでは約1年〜1年半が目安となります。
主な内訳は以下の通りです。
- 基本計画・設計期間:約3ヶ月〜6ヶ月
どのような倉庫を建てるか計画し、基本設計図や実施設計図を作成する期間です。 - 施工(建設工事)期間:約6ヶ月〜10ヶ月
基礎工事から建物の完成まで、実際の建設工事を行う期間です。 - その他(許認可手続きなど):約1ヶ月〜3ヶ月
建築確認申請など、行政手続きに必要な期間です。 
特に設計段階で仕様の決定に時間がかかったり、許認可の手続きが難航したりすると、全体のスケジュールに影響が出やすいため、余裕を持った計画が重要です。
倉庫建設の費用相場
倉庫建設の費用は、立地、規模、構造(鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)、導入する設備によって大きく変動します。
一つの目安として、鉄骨造(S造)の倉庫の場合、坪単価は30万円〜60万円程度が相場とされています。
ただし、この坪単価はあくまで建物の本体工事費の目安です。実際の建設プロジェクトでは、これに加えて以下の費用が別途必要となります。
- 地盤改良費(建設地の地盤が軟弱な場合)
 - 外構工事費(駐車場、フェンス、植栽など)
 - 電気・水道・空調などの設備工事費
 - 設計料、各種申請費用
 
最終的な総工費は、これらの条件や依頼する建設会社によって大きく変わるため、計画の初期段階で複数の会社から見積もりを取得し、比較検討することが不可欠です。
より詳細な費用削減のポイントについては、こちらの記事もご覧ください。
倉庫建設の基本的な流れ8ステップ

倉庫建設は、多くのステップを経て完成に至ります。全体の流れを把握しておくことで、各段階で「何をすべきか」が明確になり、プロジェクトを円滑に進めることができます。
ここでは、倉庫建設の基本的な流れを8つのステップに分けて具体的に解説します。
STEP1:基本計画の策定
プロジェクトの最初のステップは、「どのような倉庫を建設するのか」という基本計画を策定することです。なぜ倉庫が必要なのか、どのような目的(保管、在庫管理、配送拠点など)で使用するのかを明確にします。
具体的には、以下の項目を固めていきます。
- 建設予定地の選定
 - 倉庫の規模(必要な坪数や床面積)
 - 必要な機能(常温、冷蔵・冷凍、危険物保管など)
 - 全体の予算と資金計画
 - 希望する完成・稼働開始スケジュール
 
この基本計画が、後の設計や建設会社選定の土台となります。ここで要件が曖昧だと、後の工程で手戻りが発生する原因となるため、社内で十分に議論し、具体化することが重要です。
STEP2:建設会社の選定
策定した基本計画をもとに、建設プロジェクトを依頼するパートナー(建設会社)を選定します。複数の会社に相談し、基本計画に基づいた提案や概算見積もりを依頼しましょう。
建設会社を選定する際は、単に費用の安さだけでなく、以下の点を総合的に比較検討することが成功の鍵となります。
- 倉庫建設の実績が豊富か
 - 自社の要望を汲み取った提案力があるか
 - 技術力や施工品質は信頼できるか
 - 担当者とのコミュニケーションが円滑か
 
設計から施工までを一貫して依頼できる(設計施工一貫方式)会社を選ぶか、設計事務所と施工会社を別々に選ぶかなど、発注方式も検討します。信頼できるパートナーを選ぶことが、倉庫建設プロジェクトの成否を大きく左右します。
STEP3:基本設計・実施設計
建設会社が決定したら、基本計画を具体的な図面に落とし込む「設計」の工程に入ります。設計は大きく「基本設計」と「実施設計」の2段階に分かれます。
基本設計
基本計画に基づき、建物の配置、平面図(間取り)、立面図(外観デザイン)、構造(何造か)などを決定します。この段階で、施主(発注者)の要望を詳細にヒアリングし、建物の大枠を固めます。
実施設計
基本設計で決定した内容をもとに、実際の工事に必要な詳細な図面を作成します。構造計算書、各種設備図(電気、空調、給排水)、仕様書など、施工業者が正確に見積もり・工事を実施できるレベルまで詳細を詰めていきます。
近年では、部材を標準化することで高品質・短工期・低コストを実現する「システム建築」も倉庫建設の主流な工法の一つです。
STEP4:建築確認申請
実施設計が完了したら、その設計図が建築基準法や消防法、都市計画法などの関連法規に適合しているか、行政または民間の指定確認検査機関による審査を受けます。これが「建築確認申請」です。
この審査に合格し、「建築確認済証」が交付されなければ、法的に建設工事を開始することができません。特に倉庫は「特殊建築物」に該当する場合が多く、一般の建物よりも厳しい基準が適用されることがあります。
申請手続きは設計事務所や建設会社が代行するのが一般的ですが、審査には一定の期間(通常1〜2ヶ月程度)が必要となるため、全体のスケジュールに組み込んでおく必要があります。
STEP5:施工(着工)
建築確認済証が交付されると、いよいよ建設工事(施工)がスタートします。工事請負契約を建設会社と締結し、着工となります。
一般的な倉庫(鉄骨造)の施工は、以下のような流れで進みます。
- 準備工事・基礎工事:建設地の整地、仮設事務所の設置、建物の土台となる基礎を造る工事。
 - 鉄骨建方(たてかた)工事:工場で製作された鉄骨の柱や梁を、現場でクレーンなどを使って組み上げる工事。
 - 屋根・外壁工事:建物の骨組みに屋根材や外壁材を取り付けます。
 - 内装・設備工事:床、壁、天井の仕上げや、電気配線、空調、給排水、消防設備などの工事を実施します。
 
施工中は、計画通りに工事が進んでいるか、品質に問題がないか、建設会社と定期的に打ち合わせを行い、現場の進捗を確認することが重要です。
STEP6:中間検査
建設工事の途中で、特定の工程(例:基礎の配筋完了時、鉄骨の建方完了時など)が完了した段階で、建築確認申請の通りに工事が実施されているかを検査機関がチェックします。これが「中間検査」です。
この検査は、建物が完成してしまうと見えなくなってしまう構造部分の安全性を確認するために非常に重要です。中間検査に合格しなければ、次の工程に進むことはできません。合格すると「中間検査合格証」が交付されます。
STEP7:竣工・完了検査
すべての建設工事が完了し、建物が完成することを「竣工(しゅんこう)」と呼びます。
建物が竣工したら、建築確認申請の図面通りに建物が建てられているか、法規を遵守しているかを確認するため、行政または指定確認検査機関による最終検査を受けます。これが「完了検査」です。
この完了検査に合格すると「検査済証」が交付されます。この検査済証が交付されて初めて、その建物を倉庫として公式に使用することが可能になります。
STEP8:引き渡し
完了検査に合格した後、建設会社から施主(発注者)へ建物を引き渡す前に、施主自身が最終チェックを行います(施主検査)。
図面や仕様書通りに建物が仕上がっているか、傷や汚れ、設備の不具合などがないかを隅々まで確認します。もし修正が必要な箇所が見つかれば、建設会社に補修を依頼します。
すべての確認と補修が完了し、問題がないことを双方が確認した上で、建物の鍵や各種設備の保証書、取扱説明書などが渡され、「引き渡し」となります。これをもって、倉庫建設プロジェクトは完了です。
倉庫建設を計画通りに進めるためのポイント

倉庫建設は、多くの関係者が関わる長期のプロジェクトです。計画通りにスムーズに進めるためには、事前の準備と適切な進行管理が欠かせません。ここでは、倉庫建設を成功に導くための重要な3つのポイントを解説します。
目的や要件を明確にする
計画段階で「なぜ倉庫を建てるのか」という目的を明確にすることが最も重要です。
- 「どのような荷物を」
 - 「どれくらいの量(在庫)を」
 - 「どのように(パレット、ラック、平積みなど)保管し」
 - 「どのように(フォークリフト、コンベアなど)運用するのか」
 
これらの要件を具体的に定義し、社内で共有することで、設計段階での仕様変更や手戻りを防ぐことができます。また、現在のニーズだけでなく、5年後、10年後といった将来的な事業拡大の可能性も視野に入れ、拡張性を持たせた計画にすることも、長期的なコスト削減に繋がります。
関連法規を事前に確認する
倉庫を建設する土地には、様々な法律による規制が関わってきます。代表的なものに「都市計画法」「建築基準法」「消防法」などがあります。
特に注意が必要なのが、都市計画法で定められた「用途地域」です。例えば、「市街化調整区域」は原則として建物の建築が厳しく制限されており、倉庫建設が不可能な場合があります。また、建設する倉庫の規模や保管する物品(危険物など)によって、必要な消防設備や建物の構造基準も変わってきます。
土地選定の段階で、希望する倉庫がその土地の法規制をクリアできるか、専門家である建設会社や設計事務所に事前に相談し、確認することが不可欠です。
信頼できる建設会社を選ぶ
倉庫建設の成功は、パートナーとなる建設会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。
費用(見積もり金額)は重要な選定基準の一つですが、それだけで判断するのは危険です。以下の点を重視し、総合的に信頼できるパートナーを選びましょう。
- 倉庫建設の豊富な実績:過去に類似の倉庫をどれだけ手掛けているか。
 - 専門知識と提案力:法規制や最新の物流技術を踏まえ、自社の課題を解決する提案をしてくれるか。
 - コミュニケーション能力:プロジェクト期間中、円滑な意思疎通が図れるか。
 
協和建設は、長年にわたり培ってきた技術力と豊富な実績で、お客様の事業計画に最適な工場・倉庫建設をご提案いたします。
まとめ
倉庫建設は、基本計画から設計、建築確認申請、施工、各種検査、そして引き渡しまで、多くのステップを要する長期的なプロジェクトです。一般的な期間は約1年〜1年半、費用も高額になるため、事業計画の根幹を揺るがす重要な投資となります。
この記事で解説した8つの流れを理解し、「建設目的の明確化」「関連法規の確認」「信頼できるパートナー選び」という3つのポイントを押さえることが、プロジェクトを成功に導く鍵となります。
協和建設では、建物の建設だけでなく、完成後の修繕・メンテナンス事業にも力を入れています。建物の資産価値を長期にわたって維持するため、ぜひご相談ください。

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