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倉庫の耐用年数は?3種類の概要と確認方法・減価償却について解説

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倉庫の耐用年数には「法定耐用年数」「経済的耐用年数」「物理的耐用年数」の3種類があり、それぞれ意味が異なります。

この記事では、3種類の耐用年数の概要や確認方法、減価償却の方法などについて解説しています。倉庫の耐用年数について詳しく知りたい方や、減価償却の方法について知りたい方はぜひ参考にしてください。

 

倉庫の耐用年数とは

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倉庫の耐用年数には以下の3種類があります。

  • 法定耐用年数
  • 経済的耐用年数
  • 物理的耐用年数

それぞれの耐用年数が何を意味するのか、詳しく解説します。

 

法定耐用年数

法定耐用年数とは、その固定資産の価値がなくなるまでの年数です。国税庁によって定められており、会計処理に使用します。 

企業が購入した固定資産は、使えば使うほど価値が下がります。そのため、価値がなくなるまでの年数を固定資産の種類ごとに定めているのが、法定耐用年数です。購入した費用を減価償却する際は、法定耐用年数で定められた期間に分けて毎年行います。

なお、法定耐用年数はあくまでも会計業務で使用する数字であり、実際に倉庫が使えなくなる年数ではありません。倉庫がいつまで使えるのかを知りたい場合は別の耐用年数を参考にしましょう。

 

経済的耐用年数

経済的耐用年数とは、倉庫の修繕・メンテナンス費用が建替え費用を上回るまでの年数です。

倉庫は使用期間が長くなるにつれ、建物の基礎となる梁や鉄骨が劣化し、修繕費用やメンテナンス費用が高額になっていきます。経済的耐用年数が「0」になると、修理するよりも建替えたほうが安くなる状態です。

ただし、運用することによって利益を生む倉庫である場合は、単純に建替えたほうが安いとは言い切れません。発生する利益、修繕・メンテナンス費用、建替え費用がそれぞれいくらなのかを計算し、総合的に判断することが重要です。

 

物理的耐用年数

物理的耐用年数とは、倉庫の物理的な耐用年数です。

法定耐用年数や経済的耐用年数より長めに設定される傾向にあります。また、物理的耐用年数は立地や台風・地震などの自然災害の影響により期間が変化するため、「倉庫の物理的耐用年数は〇年」と一律で決まっているわけではありません。

倉庫ごとの状況を考慮したうえで、個別に設定する必要があります。

 

倉庫の耐用年数の確認の仕方

先述した3種類の耐用年数は、確認の仕方もそれぞれ異なります。ここからは耐用年数の確認方法について、順番に見ていきましょう。

 

法定耐用年数の確認方法

倉庫の法定耐用年数は、倉庫の構造ごとに異なり、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で確認できます。なお、金構造の倉庫は、厚みにより法定耐用年数が変わります。

倉庫の構造 法定耐用年数
木造 15年
木骨モルタル造 14年
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
38年
れんが造
石造
ブロック造
34年
金属造 3mm以下:17年
3mm超え~4mm以下:24年
4mm超え:31年

参考:主な減価償却資産の耐用年数表

上記の法定耐用年数で指定されている期間、減価償却ができます。

減価償却の方法は、記事後半で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

 

経済的耐用年数の確認方法

経済的耐用年数は、建物診断調査を受けることで確認できます。この調査では、物理的・機能的な劣化状況や必要な修繕費用のほか、市場価値の変動を考慮して、経済的耐用年数を算出します。

また、資産の経済的価値の鑑定を専門に行っている企業や、不動産鑑定士、土地家屋調査士といった、外部の専門家への依頼が必須となるため、ある程度の費用が必要です。複数の候補から見積もりを取り、比較検討したうえで依頼先を選びましょう。

 

物理的耐用年数の確認方法

物理的耐用年数を確認するためには、経済的耐用年数と同様、専門家への依頼が必要です。

具体的な依頼先は、一級建築士や技術士などです。専門家は、使用されている材質や築年数、周辺環境から受ける影響、使用状況を鑑みて算出します。

 
 

倉庫の法定耐用年数における減価償却の方法

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倉庫の法定耐用年数における減価償却の方法は以下の2種類です。

  • 定額法
  • 定率法

それぞれ解説します。

 

定額法の場合

定額法では、毎年同じ額を減価償却します。簡単な計算式で減価償却の金額を求められるため、簡単に済ませたい方におすすめです。

計算式

減価償却する金額の求め方は以下のとおりです。

倉庫の建築費用×定額法の償却率

計算式で用いる定額法の償却率は、減価償却資産の償却率等表を参照し、法定耐用年数別に決められた値をあてはめて計算します。なお、倉庫の建築費用には、建築に必要な諸経費も含まれます。

計算例

定額法で減価償却した場合の具体例をご紹介します。

◯木造倉庫を3,000万円で建築した場合

最初に毎年計上する減価償却費を計算します。計算式で使用する定額法の償却率は、木造倉庫のため0.067です。上記の値を用いた計算式は以下のとおりです。

3,000万円×0.067=201万円

このように、1年目に計上する減価償却費は計算で求めた201万円になります。2年目以降も1年目と同様201万円を計上していきます。

ただし、15年目の減価償却費は201万円から1円差し引いた200万9,999円です。1円差し引く理由は、会計上倉庫の価値を0にしないためです。

減価償却が終了した16年目以降も倉庫は使い続けるため、価値が0になったわけではありません。15年目で1円だけ倉庫の価値を残しておき、帳簿上でも会社が倉庫を使っていることをわかるようにしておきます。

15年目に全額償却してしまい、倉庫の残額が0円になってしまうと、帳簿から倉庫の記載がなくなり、実際には倉庫の使用を続けているにもかかわらず、倉庫を保有していないように見えてしまいます。

誤解を避けるためにも、あえて1円残した状態で減価償却を終了しましょう。なお、この1円のことを残存簿価といいます。

 

定率法の場合

定率法では、1年目の減価償却費が最も大きく、それ以降は年々、減価償却費が減少していく方法です。

そのため、減価償却序盤に節税効果が高くなり、終盤は節税効果が弱まります。倉庫建築完了直後に高い利益が見込めるケースにおすすめです。

計算式

定率法の計算式は複数存在します。それぞれ使用するタイミングが異なるので、いつどの計算式を使うのか把握しておきましょう。

1年目で計上する減価償却費を求める計算式は以下のとおりです。

倉庫の建築費用×定率法の償却率

2年目以降の減価償却費を求める計算方法は以下のとおりです。

未償却残高×定率法の償却率

計算式で使用する未償却残高は、前年度までに計上した減価償却費を倉庫の建築費用から差し引いた金額です。

2年目以降の計算方法で求めた減価償却費が償却保証額よりも下回った場合は、以下の計算式で減価償却費を再計算します。

改定取得価額×改定償却率

なお、改定取得価額は減価償却費が償却保証額よりも下回った年の未償却残高で、改定償却率は定率法の償却率と同様、国税庁の償却率等表に記載されています。

償却保証額は以下の計算式で求めます。

倉庫の建築費用×保証率

保証率は倉庫の耐用年数に応じた保証率を用いて計算します。保証率は国税庁の償却率等表に記載されています。

定率法は定額法に比べて複雑なので、具体例を参考に確認しながら進めていきましょう。

参考:減価償却資産の償却率等表

計算例

定率法の減価償却の具体例をご紹介します。

〇木造倉庫を3,000万円で建築した場合

このケースを定率法で減価償却する場合、1年目の減価償却費は以下のように計算します。

木造倉庫の耐用年数は15年なので、償却率等表より償却率は0.133です。

3,000万円×0.133=399万円

倉庫を建設した初年度は399万円を減価償却費として計上します。

2年目は3,000万円から399万円を引いた2,601万円が未償却残高となり、計算方法は以下のとおりになります。

2,601万円×0.133=345万9,330円

2年目の減価償却費は345万9,330円を計上します。

このように定率法の減価償却費は年々減少していくため、初年度に最も節税効果が高くなります。

以降の計算結果は下表のとおりです。

計算式 計上する減価償却費
3年目 22,550,670円×0.133 299万9,239円
4年目 19,551,431円×0.133 260万340円
5年目 16,951,091円×0.133 225万4,495円
6年目 14,696,596円×0.133 195万4,647円
7年目 12,741,949円×0.133 169万4,679円
8年目 11,047,270円×0.133 146万9,287円
9年目 9,577,983円×0.133 127万3,872円

9年目になると計上する減価償却費が127万円になります。

償却保証額は倉庫の建築費×保証率で求められるため、以下の計算式で求められます。

3,000万円×0.04565=136万9,500円

そのため、9年目の減価償却費が上記の償却保証額136万円を下回っているため、再計算が必要です。

計算式は改定取得価額×改定償却率です。

改定取得価額は9年目の未償却残高のため、計算式は以下のとおりです。

9,577,983円×0.143=136万9,652円

よって9年目の減価償却費は136万9,652円となります。

以降14年目までは上記の改定償却率で計算します。

最終年の15年目では、計算より求めた減価償却費から残存簿価1円を差し引き計上してください。

このように定率法での減価償却は複雑ですが、序盤に大きな節税効果を得られます。

倉庫の物理的耐用年数を延ばすポイント

倉庫の物理的耐用年数を伸ばすためには、定期的なメンテナンスが必要です。おすすめのメンテナンス方法は、以下の4つです。

  • 日々の点検と清掃で劣化を防ぐ
  • 害虫対策を徹底する
  • 適切な温度・湿度を維持する
  • 必要に応じて修繕工事を行う

順番にご紹介していきます。

 

日々の点検と清掃で劣化を防ぐ

日常的に倉庫の設備や建物を目視点検し清掃することで、倉庫は長持ちします。

目視点検を行えば、建物や設備の異常に早く気付けるため、大きな破損につながる前に対処できるでしょう。こまめに清掃を行い、きれいな状態に保つことで、錆による腐食や害虫の発生も防げます。

 

害虫対策を徹底する

倉庫は害虫が発生しやすいため、害虫対策が必要です。

倉庫内で害虫が発生したり、外から侵入したりすると、設備の破損や建物の劣化だけでなく、倉庫内に保管している商品の異物混入・破損につながります。

おすすめの害虫対策は以下のとおりです。

  • 殺虫剤・防虫剤
  • ライトトラップ
  • エアーカーテン
  • ビニールカーテン

倉庫周辺の環境によって、発生しやすい害虫は異なるため、それぞれに適した害虫対策を行いましょう。

 

適切な温度・湿度を維持する

倉庫内の温度や湿度を管理することで、物理耐用年数を伸ばすことが可能です。

温度が高すぎたり、低すぎたりすると建物や設備の劣化を早めるため、適温に維持しなければいけません。一般的に常温倉庫の場合は10〜20度とされています。

また、湿度が高すぎると倉庫内に湿気がたまりカビが発生したり、倉庫内の設備に錆がつきやすくなったりします。特に錆は倉庫の耐用年数を縮める要因になるため、倉庫内をこまめに換気し温度・湿気管理を行いましょう。

また、温度・湿度の管理は、倉庫自体を長持ちさせるだけではなく、保存している商品を保護するためにも重要です。

 

必要に応じて修繕工事を行う

目視点検やメンテナンスを実施していたとしても、不具合が生じる可能性はあります。以下の症状が発生した場合は、速やかに修繕工事を実施してください。

  • 外壁・内壁のひび割れ
  • 外壁の塗装剥がれ
  • 雨漏りやシミ
  • 屋根材の錆

修繕工事はできるだけ早期に行うことが肝心です。小さなヒビや塗装剥がれ程度であれば数万円で修理できますが、症状が進行すると、数十万円の費用が発生するケースもあります。

大きな費用負担を避けるためにも早めの修繕対応を行いましょう。

 

まとめ

倉庫の耐用年数は以下の3種類存在し、それぞれに年数が異なります。

  • 法定耐用年数
  • 経済的耐用年数
  • 物理的耐用年数

なかでも法定耐用年数は減価償却で用いるため、企業で利用する場面が多いです。減価償却には定額法と定率法があります。自社に適した方法を選びましょう。

協和建設株式会社では、建物の修繕メンテナンスを承っています。倉庫に限らずさまざまな建物の雨漏りや事故による破損などの修繕・メンテナンスに対応しております。

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