屋根修繕の基礎知識をわかりやすく解説|修繕のタイミングや費用の目安を紹介

屋根は建物を雨や紫外線から守ってくれる重要な部分ですが、築20年以上経つと屋根材の種類に関わらず徐々に劣化してきます。そのまま放置すると、雨漏りやカビが発生するかもしれません。そのため、築年数20年以上の場合は、屋根の点検を実施するのがおすすめです。
この記事では、屋根の修繕に関する情報や修繕のタイミング、費用についてご紹介しています。自宅の屋根の修繕を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
屋根の修繕が必要なサイン
屋根の修繕が必要なサインとして、主に以下の4つが挙げられます。
- 築年数が経過している
- 色褪せや錆・塗装の剥がれが見られる
- 屋根材の浮き・剥がれが見られる
- 雨漏りしている
それぞれ見ていきましょう。
築年数が経過している
築年数が20年を超えてくると、外見に大きな変化がなくても、内部が劣化している可能性があります。そのまま放置すると、屋根材だけでなく、骨組みにまで雨水が浸透し、腐食・カビが発生してしまいます。
屋根材の寿命は種類や施工状況によって差がありますが、一般的にスレートは20〜30年、金属屋根は20〜40年程度が目安です。この年数が近づいてきたタイミングで、屋根の点検やメンテナンスを検討するのがおすすめです。専門業者に相談して現状をチェックしてもらうことで、大きなトラブルを回避できるでしょう。
色褪せや錆・塗装の剥がれが見られる
見た目の変化は、修繕のタイミングを知るための重要なサインです。
屋根の表面が色褪せてきたり、塗装が剥がれてきたりしたら、屋根材の劣化が進んでいる可能性があります。
特にスレート屋根や金属屋根では、表面の塗膜によって防水性や防錆性が保たれているため、塗膜が劣化したまま放置すると、雨水の侵入や腐食、苔や錆の発生といったトラブルを招きかねません。
そのため、表面劣化が見られる場合は、早めに再塗装や補修を行うことで、屋根材そのものの寿命を延ばすことが可能です。
ただし、見た目の変化をチェックするために自分で屋根に登るのは危険です。自宅を見下ろせる高台から確認したり、自宅周辺に屋根の塗膜剥がれが落ちていないかを確認したりすると良いでしょう。
屋根材の浮き・剥がれが見られる
屋根材が浮いていたり、剥がれてしまっていたりする場合は修繕が必要です。
スレート屋根や金属屋根では、釘やビスの緩み、経年劣化によって固定力が弱まり、風で屋根材がめくれることがあります。また、瓦屋根でも、漆喰の劣化や銅線の緩みにより瓦が外れることがあります。
浮いた屋根材は強風や台風で飛ばされる危険があり、隣家や周囲の通行人、車などへ被害を及ぼしかねません。こうした症状は目視でも比較的発見しやすいため、早期に気付いた場合は放置せず、早急に対応しましょう。
雨漏りしている
雨漏りは、屋根の劣化が限界を迎えている明確なサインです。天井にシミができていたり、ポタポタと水が落ちてくるような状態になっている場合は、すでに屋根材の下地や内部構造にまで水が浸入している可能性が高いです。
屋根材のひび割れ・ズレ・棟のゆがみ・漆喰の崩れ・板金の浮きなど、複数の要素が絡んでいるケースも考えられます。雨漏りが続くと、木材の腐食やカビの発生、シロアリ被害のリスクも高まります。
応急処置だけで済ませず、専門業者に早急な調査と修繕を依頼することが重要です。雨漏りは自然に直ることはなく、時間が経つほど修繕費も大きくなるため、早めの行動が肝心です。
雨漏りの修繕に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
→雨漏りの修繕はどうしたらいい?応急処置や具体的な修理方法について解説
屋根の修繕方法
屋根の修繕方法にはいくつか種類があります。代表的なものは以下のとおりです。
- 部分修理
- ボルトキャップの取り付け
- 塗装工事
- カバー工法
- 葺き替え
屋根の劣化状況によって、適切な修理方法も変わってきます。
部分修理
部分修理は、劣化が酷くない場合や範囲が狭い場合に用いられます。具体的には次のような処置を行います。
- 瓦やスレートのズレを修正・交換する
- ひび割れた部分をコーキングで塞ぐ
- 漆喰を詰め直す
部分修理は、屋根全体の修繕に比べると低コストかつ短時間で済みますが、劣化が進行している場合は対応しきれません。屋根の状態を適切にチェックし、劣化が深刻になる前に部分修理で対応するのが経済的です。
ボルトキャップの取り付け
屋根を固定するボルトにキャップを取り付ける方法です。主に固定部分に錆が見られる金属屋根の修繕で用いられます。ボルトキャップには、錆によるボルトの腐食を防ぐ効果があります。
比較的低コストかつ短時間で済む修繕方法ですが、ボルトキャップ自体も経年劣化するため定期的な取り替えが必要です。ボルトキャップの劣化を自分で見つけるのは困難なため、交換時期を事前に聞いておき、その時期が来たら再度点検してもらいましょう。
塗装工事
防水塗装や錆止め塗装を行う方法です。塗膜が劣化している屋根に用いられ、外観を回復させる効果もあります。屋根全体の修繕に比べると、低コストかつ短時間で済みます。
塗装は雨や紫外線から建材を守ってくれますが、定期的に塗り直す必要があります。
防水効果や腐食を止める効果を維持するため、忘れずに定期的なメンテナンスを行いましょう。
また、ノンアスベスト屋根材を使用している場合は、10年で寿命を迎えてしまうケースが多いため、塗装工事ができません。自宅の屋根材がどの建材で作られているのかチェックしておきましょう。
カバー工法
屋根重ね葺き工事とも呼ばれる方法で、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねる方法です。屋根全体が劣化している場合に用いられますが、既存の屋根の撤去作業が不要なため、葺き替えに比べると低コストで実施できます。
カバー工法には、防音性や断熱性を高める効果がある反面、屋根全体が重くなるのがデメリットです。そのため、以下のケースでは使えません。
- 瓦屋根
- 雨漏りしている屋根
- 特殊な形状の屋根
カバー工法を検討する際は、屋根が上記に当てはまっていないか確認しましょう。
葺き替え
葺き替えとは、既存の屋根材をすべて撤去し、新たな屋根材に交換する方法です。劣化の度合いによって屋根材だけでなく、下地材も張り替える場合もあります。屋根を新設するため、防水性や耐震性が向上することに加え、外観が良くなる特徴があります。
ただし、他の修繕方法に比べて高額になる傾向があり、工期も長くなりやすいです。また、塗装工事同様に屋根材にアスベストが含まれている場合は、安全性を考慮した処理が必要になるため、追加料金が発生するケースもあります。
屋根の修繕にかかる費用相場・期間
下表に、屋根を修繕する際の費用と工期の目安を、修繕方法ごとにまとめました。
修繕方法 | 費用相場 | 工期 |
部分修理 | 約20万〜40万円 | 修繕箇所による |
ボトルキャップの取り付け | 1箇所につき約70〜120円 | 個数による |
塗装工事 | 約40万〜80万円 | 約11〜14日 |
カバー工法 | 約80万〜250万円 | 約5〜10日 |
葺き替え | 約100万〜400万円 | 約7〜10日 |
なお、屋根の劣化や破損が自然災害によるものの場合、火災保険を適用できる可能性があります。費用負担を大きく減らせるので、保険会社に事前に確認しましょう。
屋根の修繕を業者に頼む際のポイント
屋根修繕を成功させるためには、ただ安い業者を選べば良いというわけではありません。情報収集・見積もり・資格確認・説明対応・作業姿勢といった複数の観点から、業者の信頼性を見極める必要があります。
ここからは、信頼できる業者を選定するために、押さえておきたいポイントをご紹介します。
複数の業者に相見積もりを依頼する
屋根の修繕を依頼する際は、必ず複数の業者に相見積もりを取ることが大切です。
一社からしか見積もりを取らなかった場合、提示された価格が相場に見合ったものか判断できず、不当な上乗せや見積書の不備にも気付きにくくなります。複数の業者の見積もりを比較・検討すれば、より条件の良い業者への依頼が可能です。
なお、見積書を見比べる際には、金額だけでなく、その内訳や根拠にも着目しましょう。人件費や材料費、足場代なども、きちんと記載されているか確認してください。
また、相見積もりを取る際には、各社の条件を同じにしなければいけません。条件が異なると正しく比較できなくなるためです。
資格・営業許可があるか確認する
屋根の修繕には、専門的な知識と技術を要するため、依頼する前に資格や営業許可を保有していることを確認しましょう。建設業に関わる主な資格としては、一級建築士や宅地建物取引士などが挙げられます。
資格の有無は、業者のホームページなどから確認できることが多いです。掲載されていない場合は問い合わせてみても良いでしょう。資格や営業許可が確認できない場合は、その業者への依頼は避けるべきです。
丁寧に対応してくれるかチェックする
屋根修繕は専門的な内容が多いため、施主に対して丁寧に説明してくれる業者かどうかは大切なポイントです。工事内容だけでなく、使用する材料、工事の目的や手順、工期、保証内容などをわかりやすい言葉で説明してくれる姿勢は、信頼性の証といえるでしょう。訪問見積もりの際の態度や、現地調査にかける時間からも、誠実さを判断できます。
逆に、「今すぐ直さないと大変なことになる」と不安をあおり、相談する時間を与えずに契約を急かしてくるような業者は、悪徳業者である可能性が高く、注意が必要です。冷静に比較検討する時間を取らせてくれる業者を選びましょう。
屋根の修繕に関するよくある質問
ここからは、屋根の修繕に関するよくある質問を3つご紹介します。
- 屋根の修繕は自分でできる?
- 屋根の修繕に使える補助金は?
- 修繕を依頼するのに適した時期はある?
回答とあわせて見ていきましょう。
屋根の修繕は自分でできる?
屋根修繕は高所作業をともない、専門的な技術や工具が必要となるため、基本的には自分で行うべきではありません。また、誤った修繕や不完全な補修は、さらなる雨漏りや構造劣化を引き起こす原因にもなります。専門業者に依頼し、安全かつ確実に修繕するべきです。
すでに雨漏りが発生している場合は、バケツやタオルなどを使って応急処置をしてから、専門業者に連絡すると良いでしょう。費用が気になる場合は、まずは無料見積もりを活用して現状把握から始めるのがおすすめです。
屋根の修繕に使える補助金は?
屋根を修繕する際、特定の条件を満たせば、リフォーム助成金や省エネリフォーム補助金などを利用できる可能性があります。特に、耐震改修や断熱性向上を目的とする屋根修繕の場合は、国の支援制度が活用できるケースもあります。
ただし、助成金や補助金の利用には事前申請や工事内容の確認書類が必要です。修繕前に自治体および施工業者に助成金等の活用ができるのか確認しておくと良いでしょう。
修繕を依頼するのに適した時期はある?
屋根修繕に適した時期は、天候が安定しやすい春(4〜5月)や秋(10〜11月)とされています。ただし、この時期は依頼件数も増えるため、修繕業者が繁忙期になりやすいです。
梅雨や台風シーズン、積雪期は、作業の遅延や事故のリスクが高まるため、避けるのが無難です。とはいえ、劣化や破損が進行している場合は、季節に関わらず早急な対応が求められるため、まずは問い合わせを行いましょう。
まとめ
屋根の修繕は早期発見・早期対処をすることで、費用も工期も抑えられます。塗装剥がれや屋根材の浮きを発見した場合は、早めに修繕業者に相談しましょう。
また、築年数が20年を経過している建物は、修繕のサインが見られなくても一度専門業者に点検を依頼するのがおすすめです。
協和建設株式会社は、岐阜県を中心に東海地方・北陸地方の建設事業を展開しています。戸建て住宅から工場・倉庫・店舗などの建築実績があり、アフターフォローとして雨漏りの修繕対応も行っております。
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