倉庫の雨漏りは放置しないで!発生原因と修理方法、業者選びのポイント

倉庫の雨漏りは、保管している大切な製品や設備を危険にさらすだけでなく、建物の寿命そのものを縮めてしまう深刻な問題です。
放置すれば被害は拡大し、修理費用も高額になる可能性があります。
本記事では、倉庫で雨漏りが発生する原因から、具体的な修理方法と費用相場、さらには効果的な予防策までを網羅的に解説します。
倉庫で雨漏りが発生する主な原因
倉庫の雨漏りは、ある日突然発生するように見えますが、その多くは経年劣化が引き金となっています。建物を構成する部材が年月とともに性能を失い、雨水の浸入を許してしまうのです。
ここでは、雨漏りの主な原因となる3つの箇所について詳しく解説します。
屋根の劣化・損傷
倉庫の屋根は常に紫外線や雨風にさらされており、建物の中で最も劣化しやすい箇所です。スレートや金属折板といった屋根材は、経年により塗膜が剥がれ、素材自体にひび割れやサビ、穴あきが生じます。
また、屋根材を固定しているボルトやナットが錆びたり、緩んだりすることで、その隙間から雨水が浸入することも少なくありません。
さらに、台風などの強風で物が飛来し、屋根材が直接破損したり、ズレが生じたりすることも雨漏りの直接的な原因となります。
外壁のひび割れ・損傷
屋根と同様に、外壁も雨漏りの主要な原因箇所です。サイディングやALCパネルなどの外壁材は、経年劣化や地震の揺れによって、雨水の浸入や構造上の問題につながる可能性のある、幅0.3mm以上のひび割れが発生することがあります。このひび割れから雨水が内部に浸透します。
また、外壁のパネル同士の隙間や、窓・シャッターといった建具との接合部分を埋めているシーリング材も重要です。シーリング材は紫外線に弱く、5年~10年で硬化し、ひび割れや肉やせを起こします。劣化したシーリングの隙間は、雨水の格好の浸入口となってしまいます。
排水設備の不具合
屋根に降った雨水を集めて地上に排水する雨樋やドレン(排水口)の不具合も、雨漏りの原因となります。雨樋に落ち葉や土砂、ゴミが詰まると、雨水がスムーズに流れず、オーバーフロー(溢れ出し)を起こします。
溢れた水が屋根や外壁に想定外の水の流れを作り、劣化した部分から内部に浸入することがあります。特に、谷樋(屋根の谷部分に設置される樋)は、詰まりや破損が外部から見えにくく、気づいたときには被害が拡大しているケースも多いため注意が必要です。
倉庫の雨漏りがもたらす甚大な被害
倉庫の雨漏りを「少しの水濡れだから」と軽視してはいけません。浸入した雨水は、保管している製品だけでなく、建物そのものや働く人々の安全にも深刻な影響を及ぼします。
ここでは、雨漏りが引き起こす甚大な被害について解説します。
製品・商品への直接的な被害
雨漏りの最も直接的な被害は、保管している製品や商品へのダメージです。水に濡れることで、製品にシミやカビが発生し、品質が著しく劣化します。
精密機械や電子部品であれば、漏電や故障の原因となり、製品価値がに失われることもあります。また、商品を梱包している段ボールが濡れると強度が低下し、荷崩れの原因にもなります。
建物躯体への構造的なダメージ
雨漏りは、建物の骨格である躯体(くたい)にもダメージを与えます。倉庫の多くで使われている鉄骨は、水分に触れ続けるとサビが発生し、徐々に腐食していきます。サビによって鉄骨の断面積が減少すると、建物の強度が低下し、地震や強風に対する耐久性が著しく損なわれるおそれがあります。
さらに、壁の内部にある断熱材に水が浸み込むと、断熱性能が失われるだけでなく、カビの温床となります。建物全体の寿命が縮み、資産価値が大きく下落する原因となるのです。
労働環境の悪化と安全性の問題
雨漏りは、倉庫内で働く従業員の労働環境も悪化させます。雨漏りによって発生したカビは、胞子を空気中に飛散させ、アレルギーや呼吸器系疾患といった健康被害を引き起こす可能性があります。
また、床にできた水たまりは非常に滑りやすく、従業員の転倒事故につながる危険性も否定できません。
さらに、照明器具や電気配線に水が浸入すれば、漏電を引き起こし、感電や火災といった重大な事故につながるリスクもあり、安全管理上、決して放置することはできません。
倉庫の雨漏りの修理方法と費用相場
雨漏りを発見した場合、被害の拡大を防ぐために迅速な修理が必要です。修理方法は劣化の状況や原因によって異なり、費用も大きく変動します。
ここでは、代表的な修理方法とその費用相場について解説します。
修繕方法 | 主な内容 | 費用相場の目安 |
部分的な補修工事 | ・シーリングの打ち替え ・ひび割れの補修 など |
数万円~30万円程度 |
屋根のカバー工法 | 既存の屋根の上に新しい屋根を被せる | 数百万円~ |
屋根の葺き替え | 既存の屋根を撤去し、新しい屋根に交換する | 数百万円~ |
防水工事 (陸屋根など) |
・ウレタン防水 ・シート防水 など |
1㎡あたり数千円~2万円程度 |
※費用はあくまで一般的な目安であり、建物の規模、劣化状況、使用する材料、依頼する業者によって大きく変動します。正確な費用は必ず複数の業者から見積もりを取得して確認してください。
雨漏りの修繕はどうしたらいい?応急処置や具体的な修理方法について解説
倉庫の雨漏りを未然に防ぐための予防策
雨漏りは、発生してから対処すると大きなコストと時間がかかります。被害を未然に防ぎ、倉庫の資産価値を長期的に維持するためには、計画的な予防策が不可欠です。
ここでは、誰でも取り組める予防策のポイントを解説します。
専門業者による定期的な点検
最も効果的な予防策は、専門家による定期的な点検です。年に1~2回を目安に、倉庫の建築や修繕に詳しい専門業者に依頼し、屋根や外壁、雨樋の状態を詳細にチェックしてもらいましょう。
プロの視点で点検することで、ボルトの緩みやシーリングの微細なひび割れといった、劣化の初期症状を発見できます。問題が小さいうちに対処することで、将来的な大規模修繕を回避し、結果的にトータルコストを抑えることにつながります。
日常的なセルフチェックと清掃
専門家の点検と合わせて、管理者自身による日常的なチェックも重要です。普段から倉庫の周りを歩き、外壁に新たなひび割れがないか、金属部分にサビが広がっていないかなどを目視で確認する習慣をつけましょう。
また、雨樋に落ち葉やゴミが溜まると詰まりの原因になるため、定期的に清掃することが大切です。特に、台風やゲリラ豪雨、大雪の後は、屋根や外壁にダメージを受けている可能性が高いため、念入りにチェックすることをおすすめします。
信頼できる雨漏り修理業者の選び方
いざ雨漏り修理を依頼する際、どの業者に頼めば良いか迷うことも多いでしょう。業者選びを誤ると、すぐに再発したり、不当に高額な費用を請求されたりする恐れがあります。
ここでは、信頼できる業者を見極めるためのポイントを解説します。
建設業許可と豊富な実績の確認
まず確認したいのが、「建設業許可」の有無です。軽微な工事(例:請負代金が500万円未満の工事など)を除き、建設工事を請け負うには都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要であり、これは信頼性の基本的な指標となります。
加えて、その業者のウェブサイトなどで、倉庫や工場の雨漏り修理に関する施工実績が豊富にあるかを確認しましょう。
実績が多い業者は、様々なケースに対応できる知識と技術を持っている可能性が高いです。
また、散水調査や赤外線サーモグラフィー調査など、科学的な根拠に基づいた原因調査の方法を具体的に説明できるかも、専門性を見極めるポイントです。
明確な見積もりと保証内容の提示
見積書の内容も重要な判断材料です。「工事一式」といった曖昧な記載ではなく、どの箇所にどのような材料を使い、どれくらいの作業費がかかるのか、内訳が詳細に記載されているかを確認してください。
追加費用が発生する可能性のある場合は、その条件が事前に明記されているかもチェックポイントです。
さらに、工事後のアフターフォローや保証制度が整っているかも必ず確認しましょう。万が一、修理後に雨漏りが再発した場合に、どのような対応をしてもらえるかを書面で提示してくれる業者は信頼できます。
まとめ
倉庫の雨漏りは、経年劣化による屋根や外壁の損傷など、様々な原因で発生します。放置すれば、大切な製品や建物自体に深刻なダメージを与え、大きな経済的損失につながりかねません。
被害を最小限に抑えるためには、迅速な原因特定と修理、そして計画的な予防メンテナンスが不可欠です。
協和建設では、倉庫や工場の建設で培った豊富な経験を活かし、雨漏りの原因調査から最適な修繕計画のご提案まで一貫してサポートいたします。建物の資産価値を守るための長期的な視点に立ったメンテナンスにも対応しておりますので、倉庫の雨漏りや修繕でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。